『黒澤映画ゼミナール』〜黒澤明的リーダーの条件〜

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zoom RSS テレビ朝日黒澤明ドラマスペシャル『生きる』放映前に映画版を見直して考えた事・・・

<<   作成日時 : 2007/09/09 19:47   >>

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生きる
1984年10月26日、御殿場。『乱』の撮影現場に、フランスの記者を引き連れて、仏側プロデューサーのセルジュ・シルベルマンが訪れた。当時『乱』は黒澤明最後の監督作品として認識されていた。黒澤監督自らが、九州での記者会見でもそう語っていたからだ。
しかし、黒澤組のスタッフ・キャストは勿論、日本側の取材陣も、その言葉の真意を監督に直接問う者はいなかった。
ところが外国の記者は違った。
「この映画が最後の作品だと監督はおっしゃっていますが、この作品が完成したら、どうなさるおつもりなのですか?」とストレートに質問したのだ。
撮影現場のドキュメンタリー記録班として、3/4インチのビデオデッキを担ぎ、現場(監督)の音声収録を担当していた私は、監督の応えに息を呑んだ。
「映画を作らなくなったら・・・僕の生きている意味はないね・・・」
インタビュアーの記者たちは絶句した。
その暗い、重苦しい雰囲気を気遣うように、黒澤監督はすぐさまこう続けた。
「・・・そのくらいの気持ちで、『乱』を作っているということですよ」
にこやかにそう話す黒澤監督に、記者たちはホッとして、それ以上質問する事をやめた。

映画版『生きる』の中盤、役所時代の部下だった「とよ」という娘の言葉で、主人公の渡辺は生まれ変わる。
「課長さんも何か作ってみたら?こんなウサギのおもちゃでも、毎日作っているうちに、私、日本中の赤ん坊と仲良くなった気がするわ。それだけよ」
(背後で『Happy Birthdey』が歌われていた事に注目!)

黒澤監督にとって映画製作とは、『生きる』でいうところの、世界中の観客と仲良くなったように感じることのできる唯一の「生きる証」だったのではなかったかと私は思い、感動した。

映画『生きる』には、黒澤監督の人生そのものの意義を象徴するシーンと台詞が盛り込まれている。

どうか昨夜放送された「黒澤明ドラマスペシャル『天国と地獄』と同じ失敗をしないでくれ」と、
祈るばかりである。

『生きる』をリメイクさせてもらえる喜びのみに、テレビ朝日は満足してはいけない。
映画版以上に、「生きる」とは何か、その意義をはっきりと視聴者に示せる作品に仕上げて欲しい。
しかし、放送前の番組宣伝の予告編で見る限りでは、その期待も裏切られそうだと分析せざるを得なかったのは残念だ。

戦後のベビーブームの中で、外国製のおもちゃを買えずにいた団塊世代の赤ん坊たちに喜ばれたであろう白いウサギのおもちゃの変わりに、今なら百円ショップでも売っていそうな、動きもしない安物の犬のぬいぐるみを手にして、「こんなものでも作っていると・・・」と映画版と全く同じ台詞をしゃべる、深田恭子演じるシーンを観てしまったからだ。

あー、何故こんな地獄のような体験を、黒澤監督の命日の直後に味わはなくてはならなくなったのか?天国の黒澤監督が「全然分かってないね」と呆れないような仕上がりになっている事を、密かに望む丑四五郎でございます。

出演:松本幸四郎 深田恭子 北村一輝 ユースケ・サンタマリア 西村雅彦 渡辺いっけい 山田明郷 小野武彦 東根作寿英 畑野ひろ子 木村祐一 ラサール石井 沢村一樹 岸部一徳ほか
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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
深田恭子演じる「サチ(原作:とよ)」が見せた犬のおもちゃがゼンマイ仕掛けで動いたので、それはホッとしました。しかし、エンディングで選挙カーに乗って、おもちゃ作りの仕事をやめてしまっていたのには興ざめ。それもあの助役の応援とは!あれでは渡辺が生きた最後の5ヶ月間、その理想までも否定されたようで脚色の真意を疑ってしまう。前半の夜遊びも度が過ぎたシーンが続き、耐え難かった。映画版を愛し、もっと研究分析した上で手を加えて欲しかったなー。
丑四五郎
URL
2007/09/10 06:51
テレビ朝日の公式サイトにある黒澤版「生きる」の解説の文章が、ウィキペディアのぱくり丸わかりなので
見てみると良いかと。
もちろん、いいまわしは「意図的に」若干変えてあるのですが、ベルリン映画祭での受賞年度がパクリ元
同様1953年になってるのが笑えます(54年が正解)
この文章を「作った」スタッフはドラマ制作とは
直接関係ないのでしょうが、こういう志の低い関係者が
いることで、このドラマの質もわかってしまいますね。

ちなみに掲示板にこの事を指摘する投稿をしたのですが
掲載されなかったのはともかく、解説文がそのまま放置されています。
「この世は闇だ」
と私まで言いたくなります。
「生きる」の公式サイトのスタッフは
「生きる」を見たことがないのでしょうね。
悲しくなります。
てんぺすと
2007/09/10 23:26
>てんぺすとさん
貴重な情報有難うございます。早速チェックしてみます。HPのチェックに関しては、昨年『黒澤映画塾』閉鎖に至った原因にもなりましたので、テレ朝のスタッフのみならず、黒澤プロのチェックの甘さに首を傾げてしまいます。IT事情に弱いのか、関心がないのか、当『黒澤映画ゼミナール』では幻の『乱』現場記録ビデオも公開しているのですが、全く問い合わせがありません。YouTubeには海外から問い合わせが殺到しているというのに・・・。「あの記録を破棄したなんて、日本はどうなっているのだ?」という怒りのメッセージばかり。悲しくなります。
丑四五郎
URL
2007/09/11 01:44

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